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来院したその日に、安心を提供できる病院

日本医科大学付属病院は、特定機能病院として我が国の高度先進医療を担う大学病院本院。その新病院では、時代のニーズに即し、より安全で安心できる病院を目指して、様々な新しい取り組みに挑戦しているという。新病院建設の運営実行委員長を務める坂本篤裕院長に新病院のコンセプトや思いをうかがいました。

新病院のコンセプト
新病院のコンセプトとして、一番の骨子は医療の効率化と安全性の追求です。このために我々はいくつかの新しい試みを導入しています。PSC(Patient Support Center:患者支援センター)、総合診療科、ユニバーサル外来システム、重症部門の一元化などです。しっかりとした外来診療と分かりやすい院内の部門統合によって、患者さんを中心に考え円滑な運営をしたいと考えています。わかりやすく言うと、病院での治療にかかわる煩わしさを患者さんに感じさせず、患者さんが治療のことだけを考えて、来院されたその日のうちに安心して頂ける病院にするということです。
PSCとは?

先に述べたPSCは、現在分散している各外来受付、入院受付が一元化されたものを、まずイメージして下さい。患者さんはPSCに行けば何でも分かる、病院内で起こるすべてに対応し解決する場所という位置づけです。たとえばその場で必要な診療科を紹介する、検査資料を電子カルテに反映し管理する、入院から退院まで患者さんを中心に計画管理する。いままで各科が縦割りでやっていたことを一元管理することで患者さんに余計な負担をかけずに済みます。病院側も患者さんすべてに目が届きますから、お互いが安全と安心を共有できます。また、現在の大学病院にありがちな非常に長い待ち時間の解消にも繋がると期待しています。

坂本篤裕
外来の充実とは、具体的にどのようなことを実施するのですか?
総合診療科の拡充とユニバーサル外来の導入が挙げられます。総合診療科は、専門的な診療と総合的な診療を分けた上で、総合診療科の人員体制を増やして、24時間体制でどのような患者さんが来ても、その日のうちに診断をして治療を開始できるという体制を整えるためです。
次にユニバーサル外来ですが、簡単に説明すると各科が固定の診療ブースを持つのではく、いくつかのブロックに分かれた診療ブースを共有して利用する外来システムです。この診療科の場所はここと決まっているわけではないので、患者さんのニーズによって診療体制の規模を柔軟に変えることができます。
重症部門の一元化についてお聞かせ下さい。

重症部門の一元化は、医療の安全管理上、大変大きな意味を持ちます。
手術室を中心として術後の管理を行うSICU、内科系重症患者管理を行うGICUや透析センターなどを一か所にまとめて配置しています。検査部門も同様に一か所にまとめて、すべて同じ場所でレントゲン検査、内視鏡検査から生理機能検査まで行う態勢にしました。またCCUとSCUは救命救急センター内に配置され、これも一元化する予定です。このように院内区分けを明確にすることで、患者さんの安全を担保し余計な不安を取り除くと同時に、医療従事者の負担も軽減できると考えています。

坂本篤裕
新病院運営に向けて

これらの取り組みは、現在の医療の充実だけではなく、次世代の医療人を育てるための教育にもつながります。総合診療科と一元化された重症部門、そこで一定期間従事することで、プライマリーケアの出来る医師、全ての医療看護に対応できる看護師、技能に精通した技士・技術者を育てることができます。
他方、改革には痛みも伴います。例えば先に述べたユニバーサル外来を滞りなく運用するためには、現在それぞれが持っている自分たちの場所を手放さなければなりません。各診療科がそれぞれ自分の好きな方向を向いていたのでは、実現できない試みだと思います。我々の想いは一つです。縦割りの診療体制ではできなかった、広い視野をもった医療人を育成し、患者さんが安心して訪れることのできる病院を実現すること。新病院のスタートまで残された時間はあまりありませんが、日本医科大学のすべての職員が、同じ大きな目的を共有し進んで行けたらと思います。

坂本篤裕
坂本篤裕

坂本 篤裕  ATSUHIRO SAKAMOTO

日本医科大学大学院疼痛制御麻酔科学分野 教授
付属病院院長・麻酔科部長・手術部長・医療安全管理部長
昭和33年10月生まれ 岡山県出身
昭和58年日本医科大学卒業。米国Philadelphia Biomedical Research Institute客員研究員、防衛医科大学校麻酔学講座講師を経て、平成17年に日本医科大学麻酔科学講座教授に就任。新病院運営実行委員長を務め、平成26年に付属病院院長に就任。現在に至る。(社)日本麻酔科学会理事等役職多数。

様々な役割を持つ人々が、各々の立場を超えて一つの目標のために力を合わせるから、大きな価値が生まれる。ましてや医療は生命を扱う分野であるだけに、その価値は計り知れません。強いリーダーシップはビジョンと覚悟に支えられている、そんなことを感じるインタビューでした。
学校法人日本医科大学 アクションプラン21:新病院建設プロジェクト